
こどもの習い事で、意外と悩むのが「やめどき」。
こどもは好奇心が旺盛なため、軽い気持ちで「やりたい」と言い出すことが多いのですが、飽きるのも早いのが特徴です。
しかし親としては「せっかく始めたんだから長続きして欲しい」「とりあえず続けておけば何か役に立つかもしれない」などという期待のもとに、やる気が無くなってしまっても、何となくダラダラ続けてさせてしまうケースも多いようです。
後味よく、前向きに習い事を辞めるタイミングとは?
こどもに負担がかかっていないかをチェック
習い事は、園や学校よりも時間やメンバーが限定されているので、こどもにとってはかなり狭い世界となることが多いものです。
しかし、連絡帳などで保護者との連絡を密に取り合うような教室は稀ですので、保護者には実態をつかみづらく、問題に気がつかないまま子どもに負担をかけてしまっていることも。
また、複数の習い事をしていると、それだけで体力的に負担になります。
「やめたい」「行きたくない」とはっきり言ってくれる場合は対処しやすいです。でも、まだ言葉が未熟な乳幼児や、「お母さんが悲しい顔するかな」「怒られるかな」などと感じていて言えない場合、ストレスが行動や身体症状に出てくることがあります。
習い事のある日や時間、前日に以下のような様子の変化があったら、負担がかかっているサインかもしれません。
- 習い事のカバンなどを持ちたがらない
- 園や学校から帰りたくない、家から出たくないという
- 特に理由もないのに発熱や下痢、腹痛、痛みや痒みなどを訴える
- 夜泣き、おねしょ、爪噛み、指しゃぶりなどをするようになった
- 何となく元気がない、食欲がない、寝付きが悪い、朝寝坊する
- 普段以上に癇癪やわがままが酷い
- 執拗に抱っこやスキンシップを求めてくる
サインに気がついたら、まずはこどもの気持ちを受け止めましょう。
親の心情としては「もっと頑張れば出来るのでは」と言いたくなることもありますが、このような言葉は、子どもを追い込んでしまう可能性があります。
また、負担を感じている子どもにとっては、「あなたなら絶対出来る」「あなたが頑張っている姿を見るのが楽しみだよ、嬉しいよ」などの励ましの言葉が、逆にプレッシャ-になることがありますので注意しなければなりません。
改善できることは改善する
こどもに負担がかかっていると感じたら、まずはその原因を探りましょう。
以下の点を試してみても尚、子どものやる気が回復しない場合は、習い事が子どもの重荷になっている可能性が高いので、思い切ってやめることを検討しましょう。
a. なかなか上達せず自信をなくしている場合
以下の方法を試してみましょう。
- 過去の作品や、発表会の録画などを見せて、具体的な成果を感じさせる
- 指導者に相談し、自信が回復するような指導をしてもらう
- 家で親と一緒に反復練習などをしてみる
- 達成しやすい目標を立てる
b. 時間帯や曜日に問題がある場合
子どもの生活リズムに合っていないと、ぐずりや癇癪のもとになり、嫌な記憶ばかり残ってしまいます。
0〜2歳くらいまでの未就園児の習い事は、お昼寝・おやつ・食事の時間と重ならないように調整してみましょう。
3歳以上の場合は、夕方や週末などは疲れが出てきている可能性も。
行事がある時期など忙しい場合は、無理をすると体調を崩す原因にもなりますので、習い事は控えめにする方が良いでしょう。
逆に、習い事で発表会や試合、検定などが控えている場合は、平日よりも土日や休日に集中して練習させるようにし、身体の負担をかけないように気をつけましょう。
c. 指導力に問題がある場合
習い事の場合は、必ずしも全ての指導者が資格や免状を持っていたり、研修を受けているとは限りません。また、大人には教えられても、子どもに教えた経験が少ないということもあります。しかし、子どもに教えた経験が豊富ではあっても、スパルタや詰め込み主義、過度の放任、出来の良い子ばかりに目をかける、などの問題のある指導者もいます。
こういった逆境を糧にして伸びる子も稀にいますが、こどもの性格やタイプによっては能力をつぶしてしまうことにもなり兼ねません。指導者と子どもとの相性はとても重要ですが、事前に見学や体験をしていても、実際に習ってみないとわからない場合も多いのです。
子どもの様子がおかしいと思ったら、まずは可能な限りレッスンの見学に行って実態を掴み、その上で疑問や不安を指導者に相談してみましょう。
それでも改善されない時は、指導者を変えることも考えましょう。
d. 友達関係に問題がある場合
指導者とは相性が良くても、友達との関係が悪くなってしまうと、子どものモチベーションはかなり落ちてしまいます。まずは指導者に相談し、現場で問題を解決してもらうようにしましょう。
改善されない場合は、同じ指導者の別のクラスに替える、個人レッスンにするなど対策を。
しかし、こども同士の関係は案外根強く、レッスン以外の場で嫌な思いをする場合もあります。どうしても解決しない場合は、思い切って違う教室に変えることを考えましょう。
辞めるタイミングを決める
いくら一流の指導者が教えても、プロになるまで続ける子どもはほんの一握り。
子どもに無理を強いてまで固執する必要はありません。
やめどきは、新しいことの始め時でもあります。
ひとつの経験ととらえ、「所詮は習い事」と割り切りましょう。
キリの良いところで辞める
こどもは移り気ですので、またやりたくなって再開するかもしれないことも考えて、なるべく人間関係の良好な状態でやめておく方が無難です。
次の発表会、試合、検定などのイベントや、学年末、学期末、月末などの区切りを決め、それまでは頑張ると決めると、指導者側も余裕を持って計画を立てられ、良い雰囲気で辞めやすいです。
今すぐ辞める
教室内で悪質なイジメや虐待などがあれば、子どもを守ることを優先しましょう。
すぐに退会できない場合は休ませ、連絡・手続きは保護者が済ませましょう。
次へ気持ちを切り替えることも大事
習い事を辞める時に、こどもの前でいつまでも「あの時○○すれば良かった」「次は○○しなさい」などと問題点を追求するのは賢明ではありません。
特に5〜6歳になると、こども自身も道半ばで辞めることに多少なりとも後ろめたさを感じているものです。
「お母さんの期待を裏切ってしまった」「自分がやめたせいでお母さんが怒っている」と感じてしまうと、「習わなければ良かった」「自分はダメな子」と思い込んでしまい、新しいことに挑戦する気持ちや困難を乗り越える気持ちが育たなくなってしまいます。
辞めることを決めたら、親も気持ちを切り替えて次に進みましょう。